ホホホの森たんけん隊のノートブック

ホホホの森探検隊は盛岡城跡公園(岩手公園)を舞台にした遊びを極める活動です

ホホホの森探検隊@北のクラフトフェアへの道

昨年、ホホホの森探検隊は「北のクラフトフェア」で子どもたちへの遊びのイベントを事務局から頼まれ、それではと子どもたちとネイチャーアートを会場内で展開するとともに、ブース内で箱庭枯山水を展開し、多くに皆さんに楽しんでもらうイベントを展開しました。その記録をあらためてこちらのブログに掲載いたします。

北のクラフトフェア入口の Welcome Board

北のクラフトフェアが2022年10月8・9日の両日開催されました。そこに出店したホホホの森探検隊の出店までの経緯や周辺のまつわる話について書いていきたいと思います。次の見出しをクリックするとその段落に飛びます。

その1 ホホホの森とは?

その2 みんなの会とは?

その3 北のクラフトフェアに向けて(ホホホの森探検隊の動き)

その4 北のクラフトフェア1日目

その5 北のクラフトフェア2日目

最後に

#その1 ホホホの森とは?


ホホホの森探検隊はミナ ペルホネン皆川明さんが岩手公園に計画している複合商業施設(ふくごうしょうぎょうしせつ)「ホホホの森」の実現を後押ししようと、子どもたちと公園でできる遊びの可能性を追求しています。

そもそも探検隊の名前のもとになった「ホホホの森」とは、何でしょうか?

 

岩手公園の史跡内の公園広場にあるトイレの老朽化が問題となっていました。ただし法律上、史跡内に新しいトイレを作ることができません。そこで公園整備の予算も限られる盛岡市Park-PFI という制度に着目しました。これは公共空間の整備を民間の会社などにゆだねる方法です。その民間の会社は公園整備を請け負う一方、その施設運営で商売ができるメリットがあります。ただし、岩手公園には建物が建てられませんし、市民のいこいの空間をこのまま残しておきたい。

そこで、史跡外の芝生広場に建物を建ててそこを利用する市民にサービスを提供し収益を上げて良いから、「公衆トイレを作る」「公園利用者を増やす」「きちんと管理運営する」ことなどを条件として施設建設を公募したところ ミナ ペルホネン が提案した施設が選定されその施設名が「ホホホの森」とされたわけです。

ここら辺の経緯は盛岡市がまとめた次の資料に詳しく書かれています。

公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した盛岡城跡公園芝生広場整備事業について 

この案が発表された令和元年の晩秋、皆川明というネームバリューに期待した施設建設の賛成派と、静かな公園を商業施設建設で台無しにしないでほしいという反対派の市民を巻き込んだちょっとした騒動が起こりました。いや騒動というより、岩手日報や盛岡タイムス、大手新聞社の地域版などで取り上げられたりして、賛成派、反対派の図式ができあがり、それをマスコミが煽ったわけです。

 

そうこうしているうちに COVID-19(死語!)のニュースが巷をにぎわし、令和2年2月、横浜のダイヤモンド・プリンセスが現れ、岩手公園の騒動を波紋のように消し去ります。その後の度重なる感染爆発がこの問題をすっかり片隅に追いやってしまいました。

このような市民を巻き込んだ問題に感度が極めて高い河北新報が令和3年(2021年)5月10日に次のような記事を出しました。変異コロナの第4波のピーク前夜です。

 

kahoku.news テキスト章の抜粋したものがこの章の最後にあります

 

感染拡大で事業者が市に対し、計画の再検討を申し出たとあります。

この間の盛岡市とミナ ペルホネンの動きは我々は知る由もありません。しかしコロナがいい冷却期間とクッションを与えてくれたのは間違いありません。そしてその間、令和2年の春から始まった市民活動を補佐するY.O氏と盛岡市のY.T部長が中心となった通称「みんなの会」がスタートします。このみんなの会は商業施設整備に賛成、反対に関わらず岩手公園や岩手公園に関わる人の魅力を発見しようという趣旨で、ほぼ月1回のペースで運営されています。

 

(上記河北新報記事のテキスト抜粋)

盛岡市による岩手公園(盛岡城跡公園)の商業施設整備計画が進展していない。新型コロナウイルスの感染拡大で事業者が市に対し、計画の再検討を申し出たためだという。公園を巡っては石垣の修復工事も入札不調で未着手となっており、盛岡のシンボルの行く末に市民が気をもんでいる。

20年冬オープンの予定が…

商業施設の整備計画が持ち上がったのは2019年。民間資金活用による社会資本整備(PFI)の手法で、カフェや物販店が入る施設を芝生広場に整備する予定だった。提案した衣料品製造販売「ミナ」(東京)は、20年冬ごろのオープンを目指していた。

ところが昨年9月、同社は「新型コロナの影響で公園などのオープンスペースの需要が高まっている」との理由から市に事業内容の見直しを申し出た。同社の担当者は取材に対し、再検討について「詳細は答えられない」と返答した。

市も今年1月号の広報で事業内容を紹介したが、今後のスケジュールは「随時お知らせする」との説明にとどめた。

岩手公園は盛岡の歴史や文化を象徴する公共空間でもあり、市民らの関心は高い。

市内在住の50代女性は「多少のにぎわいができてもいい。景観を守りながら造ってほしい」と要望。滝沢市から週2回訪れるという70代男性は「商業施設が必要なのか疑問。皇居のように緑がある広場はそのままにしてほしい」と訴える。

市は本丸二階櫓(やぐら)などの復元に向けた事業も計画。本年度は、明治時代に撮影された写真や平面図の調査を進めるという。

近くに住む60代男性は「何かを造る前に、まずは石垣をなんとかしてほしい」と指摘する。石垣は盛岡城跡の象徴的存在だが、公園北西部の「三の丸石垣」は緑の柵で覆われ、約3年間、修復工事に着手できていない。入札の不調は、工事を担える技術者が全国的に不足していることが要因という。

市はなんとか工事に取り掛かりたいと、本年度は予算額を前年度の約2倍となる1億円に拡大した。5月下旬にも入札を始める。

市公園みどり課の担当者は「いずれの計画についても、事業者とよく協議するなどして、できるだけ早く進めたい」と話した。

 

#その2 みんなの会とは?

 

みんなの会は、皆川明さんによる「ホホホの森」構想が盛岡市を通して世に出た後、たんだん世間をにぎわしていく中、2019年(令和元年)9月に生まれました。何度も指摘しておかなくてはならないことですが、この会は、「みんなの会」という何の変哲もない名が示すように、岩手公園の新たな Park-PFI 構想に賛成・反対どちらかの立場を表明するのではなく、まずは岩手公園の魅力を探りながら、もし課題があればそれをみんなで確認し、いい方向に向くようみんなで問題を共有しようという、ある種の純粋な気持ちから立ち上がりました。

2017年の都市公園法改正によって制定された Park-PFI は、飲食店や売店等の公園施設設置または管理を行う民間委託事業者を公募によってえらぶというもので、全国的に導入が進む中、反対論もあったものの蓋を開けてみれば多大な賑わいを創出しつつあった木伏緑地(Park-PFIとしては運営開始が2019年9月という全国3事例目の早さ)の成功が背景にあります。

木伏緑地の成功やそれを受けてのホホホの森への期待について、みんなの会の中心人物であった盛岡市のY.T部長へのインタビュー記事が理解を助けます。

 

盛岡商工会議所ニュース2020年2月号

 

さて、そのみんなの会は、「岩手公園周辺の商店街や関係者が考える公園整備は?」「岩手でものづくりに関わる方々とミナペルホネンの目指すところ」「公園と子ども(学び、遊び、食育)の関係」などの題材をテーマに、コロナの喧噪の中、毎月のように勉強会を重ねます。

多くのマスコミは報じませんが、このオフ会的会合「みんなの会」の存在が、関係者たちの理解と関係する市職員と民間人の間の垣根をとってきた重要な役割を担っているのです。

2022年4月15日の「みんなの会」を報じる盛岡タイムス

 

#その3 北のクラフトフェアに向けて(ホホホの森探検隊の動き)

 

みんなの会にリモート出演する皆川明さん(2022年9月29日)


北のクラフトフェアは、雑誌「てくり」の木村敦子さん、水野ひろ子さんが中心になって皆川明さんが進める「ホホホの森」構想に賛同した有志が集まって開催にこぎつけました。岩手公園での施設建設の是非を問うような動きや、コロナ禍で停滞するホホホの森構想を、側面から応援する意味合いがあったと思います。

北のクラフトWebページより

このような全国規模のクラフトフェア開催の発端が、行政でも民間企業でもなく、市民有志によってなされたということは特筆すべきことです。それ故、皆川明さんもこのクラフトフェア開催に賛同し、協力してくれたのだと思います。

 

そのようなクラフトフェアにホホホの森探検隊が参加を要請されました。

審査を通らなかった作家もたくさんいるのに、何だかホントにいいのか?って感じ。でもクラフトを販売するわけでもないし、子どもを対象としたワークショップを開催できる団体は限られるはずと思い、2つ返事で引き受けました。

そうと決まれば準備です。まずは参加者募集のフライヤーを作りました。

ホホホの森探検隊参加者募集ビラ

何をやるかって? ホホホの森探検隊の年間メニューにもある箱庭枯山水と、開催時期の10月前半にはちょうど色づき始めるであろうサトウカエデなどを利用したネイチャーアートです。

箱庭枯山水ワークショップは過去に何度もワークショップを開催してますので立地と宣伝次第でたくさんの人が来るのは容易に想像できました。ただ、レベルの高いクラフトフェアなのでどれだけの人が気に掛けてくれるか?
またいつも一人でコソコソやっているネイチャーアートを参加者を募集してやるのは初めての経験で、これもまた参加者がどれだけ集まるか全く読めませんでした。しかし、このようにベントで参加者を募ってやってみることが私の夢でもありました。

先ずは材料の棚卸と材料集めです。材料は箱庭やクラフトワークショップ用に日頃から貯め込んでいるものに継ぎ足していきます。棚卸しと材料集めを9月から徐々にやっていたのですが、その材料の分類整理を本格的にし始めたのは10月に入ってからでした。

 

材料の補充はネイチャーアートと箱庭枯山水をそれぞれ意識して行いました。

ネイチャーアートに使うトチノミの外果皮(中身は栃餅用に処理)

ネイチャーアートに使うサトウカエデの落ち葉をフェア前日に集める

また、折しも皆川明さんの「つづく」展が青森県立美術館で10月2日まで開催されています。皆川さんの作品群をせめて知っておくのが礼儀と、北のクラフトフェア開催前に皆川さんがみんなの会にリモートで出演して下さった9月29日に、ミナ ペルホネン「つづく」展に行ってきました。

皆川明「つづく」展は圧巻であった

せっかくだから同時期開催している弘前のれんが倉庫美術館奈良美智展にも行ったのですが、展示の丁寧さが奈良美智店に比べて際立ちます。弘前の方は2002−2006の吉野町煉瓦倉庫での展示をテーマにしたアーカイブ的な展示で奈良美智の過去の躍動感は伝わるものの、今の奈良美智は感じられないレトロスペクティブな展示でした。一方青森県美の方は丁寧な展示が今の皆川明さんを浮き彫りにしている展示でした。

弘前れんが倉庫美術館が好きで何度も足を運んでいるのですが、今回の青森県美術館の皆川明展は別格でした。(どうした弘前MOCAよ!)

このような皆川明さんを冠したクラフト展に出演できる幸せを嚙み締めました。

自然物に着想を得る-このセンスと意識には共感しかない


本番前の最後の休日の10月5日、ネイチャーアートの可能性を探りに岩手公園の最後の下見をしました。本番当日のネイチャーアートの展開ができるかどうか探りました。

 

色づくサトウカエデ

サトウカエデの落ち葉が間に合うかどうか微妙です。

 

ユリノキの葉とトーテムポール

ユリノキの葉っぱでインスタグラデーションは出来そうです。

ヤブツバキの葉のインスタグラデーション

ヤブツバキも。

そしてスタッフにインスタグラデーションのコツを知ってもらうために次のようなポイントをまとめ、連絡用に使っているLINEのアルバムにアップしました。

インスタグラデーションのコツ

いよいよ当日の朝を迎えます。

なお、当日の朝までにできる準備は軽トラの積み込み含めてほとんど全て前日の夕方までに済ませました。いままでやってきたワークショップやイベントの経験がものを言います。明日の朝もドタバタ準備の時間を割かないよう、前日に99%まで準備するのです。ここまで万端に準備したのはかつてないほどでした。段取り八分ならぬ段取り九分五厘のイメージです。

 

 

#その4 北のクラフトフェア1日目

 

クラフトフェア当日を迎えました。歴史文化館前に朝 8:00 時ジャストに付くよう軽トラを走らせました。9時過ぎにはすっかり準備を終え、お客さんを受け入れ始めました。そしたら来るわ来るわ。歴文館前の飲食を中心としたブースの一画に陣取りましたが、それ故人通りが多く、ひときわ人を多く集めてました。

開店直前のホホホの森探検隊のブース

開店後間もなくのホホホの森探検隊のブース

箱庭枯山水の材料を前面に押し出した
初日午前中のブースの様子(若干混乱しています)


ブースで行う箱庭枯山水はふたを開けてみれば大盛況。あてがわれて陣取った場所がとても目立つ場所だったのも功を奏しました。
問題は各日午前午後と行うネイチャーアートです。
初日1回目の午前10時が近づくにつれ事前に申し込んでいた人たちが徐々に集まります。もう開き直るしかない! 前日に集めた紅葉の走りのサトウカエデの落ち葉+若干むしり取った葉で、ネイチャーアートをぶっつけ本番でやる覚悟ができました。

サトウカエデのインスタグラデーション「大地の虹」

初日午前のネイチャーアートはサトウカエデのインスタグラデーションを芝生広場の片隅で行いました。子どもの集中力が続くかな?とも思いましたが、こちらが挫けず強い気持ちでやり続けると、それに乗せられる子どもも出てくるのに気が付きました。成功です!

午後もこの調子でトチノミのインスタレーションを配置しました。

トチノミのインスタレーション「ゴヨウマツの奇蹟」

このミニマルなアートは、そこにある”もの”を浮かび上がらせる効果もあります。人知れず伐られてしまったゴヨウマツの無念を、図らずも顕在化させていました。

いつの間にか伐採されたキタゴヨウ(ストリートビューでまだ確認できる)

さてブースに戻るとそこは相変わらずの大混雑。用意された材料、特にイミテーションものや食玩的ママゴト遊びおもちゃ、苔が見る見るうちになくなっていきます。使用制限を掛けないと(使用制限を掛けても使われてしまうのだけど)、あっという間になくなります。

箱庭枯山水の一作品(何でもかんでも配置してしまっている)

そこで、苔を近くで採取し補充することにしました。

苔を採取する大人スタッフと子どもスタッフ

 

夕方近くになっても人の流れが途切れません。

Ça va?缶に箱庭を展開する双子(絵になる)

大盛況のうちに1日目が終了しました。今日中に箱庭を仕込む容器を買い足し明日に備えなくてはなりません。

 

 

#その5 北のクラフトフェア2日目

 

翌日22°ハロが出るくらい、岩手公園では曇りがちの天気が回復しました。

22°ハロ(日暈)で覆われる空

今日も多くのお客さんでにぎわっています。ホホホの森探検隊のブースも相変わらずすごい人気です。

左-とある少年の作品。バランスが取れている
右-緑色のアイスランドモスとして売られているコケは実は着色した海藻


知り合いもたくさん訪れます。あかばやし探検隊関連の知り合いが5、6組訪れました。彼女たちは伝説のやまんば母子。あかばやし探検隊に初めてきたのは3歳の時。今は13歳(中学1年生)

あかばやし探検隊のOG母子      10年前のやまんば3歳の時(左端)

途中で容器や砂やコケが足りなくなって買い足しに行ったり、採取しに行ったり、スタッフにもたくさん動いてもらいました。ホホホの森探検隊の数多のスタッフがいなければブースの維持は困難でした。あらためてお礼を申し上げます。

また2日目のネイチャーアートは枯山水インスタレーションを行いました。

2日目の出張ネイチャアート企画は枯山水インスタレーション

私の説明を子どもたち、熱心に聴いています

ユリノキ並木で枯山水インスタレーションの作品と共に写真に収まる参加者たち

 

2日目のブースも目まぐるしく人が立ち寄り、作品を思う存分作り、満足して立ち去っていきました。箱庭枯山水のブースをやってホントに良かった。関係した皆さんに心より感謝申し上げます。

そして、こんなことがありました。

Ça va(サヴァ)?缶の枯山水箱庭、粘って完成度をあげた子どもがいました

そしたら上の作品、ツイッターのフォロワーさんの娘さんの作品でした。

一連のツイッター投稿(左の最後の写真が、右の作品と一緒です)

 

終わってみれば、2日間のホホホの森探検隊のブースで作品を作った人の数が、その売り上げより判明しました。

10月8日の1日目- 85人
10月9日の2日目-104人 計189人

また、予め募集したネイチャーアートと枯山水インスタレーションの参加者が

10月8日の午前-19人
10月8日の午後-18人
10月9日の午前-27人
10月9日の午後-21人 計85人

ブースに立ち寄っただけの方も含めれば、2日間で400人近くの来場者がいたことでしょう。

 

2日目が終わって記念撮影

 

#最後に


ホホホの森探検隊は吉田信一杜陵小学校前校長の下、岩手公園に新しい遊びを求める子どもたちやその親御さんの為に、月一回遊びの提案を行いながら岩手公園を遊びのフィールドとして利用することを推奨する団体です。その考えに賛同した大人と子どもがつどって、月1回、実際に遊びの場を提供しています。
今回、その活動が認められ初回の「北のクラフトフェア」に子ども参加のワークショップを展開する団体として参加いたしました。今後も月1回、活動してまいりますのでどうぞ下記よりご参加ください。
そして「北のクラフトフェア」に「ホホホの森探検隊」を紹介してくれた、小田中由美子さん、主催者の木村敦子さん、水野ひろ子さん、両日ホホホの森探検隊の為に休みなく働いてくれた吉田純菜さんに感謝しお礼いたします。

カメさん